前章で奇経八脈を性の展開とすると帯脈は最後の一つの脈となる。まず衝脈は純粋な人生の純粋なカリキュラムを生み出す。そして出生前の陰(任脈)そして出生前の陽(督脈)を生み出し、時間の経過とともにその瞬間に維脈と蹻脈に分散される。そこで帯脈はどのように機能するのか?

 

帯脈には3つの重要な機能がある

・他の脈の機能を統合、調整そして調和を取らせる。

・奇経八脈の出生前の機能と出生前の中焦(脾臓と胃)をリンクさせる。

・それは、生きる意志(精)に影響を与えるトラウマの未解決の感情に対して、オーバーフローシステムまたは呼吸を提供する。帯脈には二つの経路がある。一つは出生前の性質を持ちサポートと統合、そして一つは生後の性質を持ち排泄とデトックスの機能である。

 

出生前の帯脈:Du4,UB23,UB52,GB26,SP15,St25,Ki16,Ren8

この帯脈はベルトのように中間を巻いているが、腎の分岐のD4からの延長でウエストラインに沿って回りRen8に至る。他のすべての経絡が帯脈を通過しなければならないのでこれらを統合している。

 

出生後の帯脈:Liv3,GB26,Gb27,GB28

この帯脈は腎経De4の分岐から延長して背側を通過して側面に回り胆嚢経を通って下焦に至る。この帯脈は出生後のトラウマを保持する領域である。

 

調和と統合

帯脈は水平に走行するので他の縦に流れる奇経の全てと交差する。帯脈は特に最初の起源である最初の祖先の脈(衝脈、督脈、任脈)の統合にとって非常に有益である。出生前の帯脈は腰部の中央部を完全に取り巻いているので最初の祖先の脈(衝脈はKi16,督脈Du4,任脈Ren8)もこのライン上に存在している。

帯脈は重たいものを持ち上げるウエイトリフティングに用いる腰をサポートするベルトのように考えられる。このベルトによって腎臓領域を締めることによって出生前の脈をサポートする。

 

脾臓のサポート

帯脈の中間ラインを横切る関連は出生後の脾臓との結合である。脾は帯脈が胆嚢経に大きく影響を及ぼしているからである。この奇妙な性質によって胆嚢経は体質(元気)と強く関わり、出生後の脾の機能に関与している。胆嚢は典型的な陽の臓器ではなくむしろ奇の腑で、この機能は奇経八脈とYuan Qiの結びつきで強化されているが、出生後の主要な単横経として機能している。したがって、胆嚢経は両者のブリッジの機能でもある。帯脈は変容的な命門(腎陽)の火を供給して胆嚢から脾の健全な変換と輸送の機能をサポートする。帯脈が弱く強化が必要であると、命門の火および腎陽も弱く消化機能をサポートできない。出生前の帯脈の機能を強化すると脾の機能をサポートできる。強化によって脾の変換と輸送機能をサポートして患者の食べ物と人生の消化能力を高めることができる。また中央部を上下するエネルギーの流れの適切化もできる。中焦は上焦と下焦の間にあり、健全な中焦は上下の働きを仲介することで心と腎の軸を健全化させる。

脾は弱いと変換と輸送が効果的にできないので湿を生み出す。脾が多くの湿を生み出し、脾の機能が修復されないと元気が低下する。濁った陰気が上昇すると髄の海(脳)に影響を及ぼし頭がぼんやりする、集中できない、記憶ができない、沈鬱あるいはめまいが起こる。この陰のうっ滞は、私たちが誰であるかの完全な表現を妨げ、外の世界を取り入れる能力に影響を与える。感覚器の穴が陰で塞がれてくると周囲を感知することが困難になってくる。

これは食事やライフスタイルの選択に起因し、十分機能する消化をサポートできない。これは出生後であり、体質の問題ではないが、出生前の帯脈を用いて治療でき脾の機能をサポートできる。

脾は悪いライフスタイルや不適切な食事に影響を受ける。喫煙や酒類の過剰摂取などである。これらの影響によって脾は湿を自己保存の為に作り出すが、湿は火によって抑制される。基本的には湿が蓄積した場合にはそれを追い出す火が必要であるが、火で湿気のみを追い出す場合には注意が必要である。もし火の力を弱めていた湿を処理すると火が燃えあがってしまう。湿が脾に反応して産生された場合には督脈上のGB41と陽維脈の(SJ5)の治療を合わせて行うようにする。陽維脈は体表に火を放出させる機能があるが、これらの治療で脾経・督脈は湿を産生させる必要がなくなる。

 

精を脅かす未解決な問題

帯脈の三つ目の機能は精を脅かす未解決の問題を溜め込む貯水池あるいは器である。これを理解するためには督脈と下焦の関係をみればいい。出生後の督脈の経路(Liv3,GB26,GB27,GB28)の骨盤領域にバケツあるいはたらいを作り出生後の過剰エネルギーを吸収する。過剰とは出生後の上手く変換と放出ができなかった経験である。それらは不必要な痛みを伴う思い出、深くしまい込んだ感情や信念であり、私たちの目的を追求する私たちの能力に影響を及ぼす。それはまた若い時に起こったトラウマを解決する能力がなかった経験に由来する。

これらの経験は生きるという意思に影響を及ぼすが、それらは心臓から離れた帯脈に湿として重く沈めてトラウマの感情にアクセスする感覚を減少させる。これは死んでしまいたいという当時の最悪の状況の記憶や感情を一番最下部の暗い場所の箱にしまい込む。それらの感情をしまい込んだ箱から感覚が漏れ出してもそこに箱があるのを自身は忘れている。

これは自己保存メカニズムの潜伏を超えた一歩です。後で処理するためのリソース、サポート、または知恵を集めることができるまで、何かを寄せ付けないようにするつもりはありませんことではない。私たちはそれがかつて存在したことを忘れようとはさせない。これは抑制であり、抑制を維持する体液の負担と同様に、抑制のコストは高くなる。抑圧は命門の火を湿らせ陽の原動力を弱めるので、人生を前進させ変容させることが困難になる。身体が重たく感じ、疲れて消耗し、行き詰った感覚を持つ。これは人生を腰の高さまでの水の中を歩いているような感覚である。すべてのステップがゆっくりで本当に行きたいところにたどり着くのに苦労する過ぎにが辿り着けない。あらゆる瞬間を腰の深い水の中を歩いている。それがどれだけ疲れる事か想像できます。すべての瞬間に大変な努力が必要であると挑戦をすぐに止めてしまう。敗北感を感じ始め意志を失う。

 

帯脈と体重増加

すべてのケースではないが、帯脈にうっ滞を持つ人の多くは中年過ぎに肉眼的に解る過剰な体重増加が起こる。体重増加がない人でも帯脈のインバランスがある。帯脈の閉塞は腰痛、前立腺炎、月経時の痛みや子宮筋腫、シスト、インポ、性交時の痛みそして不妊症などの症状を持つ。体重増加の他に下焦にうっ滞と閉塞の痛みの症状を出す。うっ滞は内部なので視覚化できず明瞭ではないが機能を維持するために資質を消耗させながらそれらを隠し抑制する。

帯脈のうっ滞はある時点で漏れ出してくる。抑圧された潜伏部位をサポートした湿は精を次第に消耗してくる。精の消耗によって下焦に蓄積しておくことが困難になり下痢、頻尿、膣分泌物、浮腫そして早漏が起こる。下焦の機能が維持できなくなると潜在していたものが漏れ出してくる。これは身体が、もうこれ以上持ってられないよ。大切な精をトラウマ、負の感情あるいは意識から隠していた信念を隠すためだけに使えないよと言っている。これらに対してあなたは直ちに対処していかなけらばならない。

 

統合と解放

帯脈の治療を実施する場合には患者に勇気があるか、手放すために必要な治療に耐える精があるかを確かめる時間を取る必要がある。彼らは背負ってきた重荷を降ろすために必要な支援を受ける時間が時として数年必要である。患者は前に進むために何かを手放なさければならない事に気づいているが、押し込めたトラウマの解放となぜ苦悩が起こったのかを知るのでそれらに立ち向かうチャレンジが必要である。湿によってつくられた防波堤によって患者はとても頑固であったり、手放す必要なプロセスを実施することを進められない。彼らはしばしば過去を手放すことを困難にする深い恨みを形成する。湿を抜く前に出生前の帯脈から塊を取り去る必要がある。塊を最初に解放することによって気と精の喪失を

を防ぐことができ、患者は精の漏れから回復する時間と最終的に彼らの運命を追求する時間を与える事ができる。

帯脈からのドレーンができると長い間体験できなかったマインドの存在と考えを明確化させる事ができる。湿を追い出すことが出来ると呼吸の空間と何にも邪魔されない、突っかからない感覚を得ることができる。帯脈を自由にすることはまた新しい可能性を必要に応じて作り出すことが出来る。これは自己保存メカニズムに重要である。帯脈に自由な空間を作り出すことで新たな人生を脅かす出来事に対する余力を作り出すことができる。

 

三焦と帯脈

帯脈の湿は時に出生後よりも体質に起因する。出生後の原因は対処できないトラウマから遠ざける為に湿を作り出して熱を低下させている。しかしながら、湿はあなた自身の感覚の中で作られた葛藤に応えて蓄積する。出生のプロセスで三焦は元気を臓の臓器に分配させる。これは必ずしも対称的なプロセスではない。生命はフェアーあるいは平等ではなく元気の分配でもない。不平等の分配は体質的な強さそして弱さだけでなく個性にも関係している。それによって個人のユニーク差が作られる。ある赤ちゃんは静かで平和的であるが、他の赤ちゃんは素早く探検好きで周囲の世界と関わる。笑いやすい赤ちゃんや初めから不満そうで快適ではない子もいる。このように最初から個性の違いを見ることが出来る。成長のある時期でそれぞれがユニークであるという自己肯定ができないと自身のある側面を受容できないと帯脈は痛みを作り出すパーソナリティーによって湿を作り出す。この湿は私たちが嫌と思う自己の表現をブロックさせる。これは元気を臓器に分配する流れを弱めたりブロックさせる。再度述べるが湿の蓄積は自身を圧迫させて前に進む力をストップさせる。パーソナリティの特性を減衰させた状態の治療は出生後の帯脈では治療できないが、出生前の腎気の陽気を変容させる帯脈で治療する。Liv3はこのイントを刺激する事で元気をより自由に臓の器官に分配する事が出来る。治療によって自身が嫌いな側面による苦痛を和らげることが出来る。

 

帯脈と緩やかな疎通

帯脈の湿は単に出生後の病理だけではない事を覚えておかなければならない。それは生存をかけた戦略である。帯脈への湿の蓄積は精が脅威にさらされた時に起こる。もし脅威の存在が不確かであればまず脾経を最初に治療する。脾経の治療に反応しない場合には帯脈が湿を追い出す障害になっていることを考慮する必要がある。

もし自己保存の側面を考慮しないで帯脈を治療すると患者に脆弱性を感じさせる。脆弱性の経験は、彼らが過去に直面するために必要である。これらの患者は自身の虚弱性に対してより良いサポートシステムを得ることによって対応できる。年齢を重ねることによって得た知恵やキャパシティーを得たからである。彼らは多少の不快感があっても手放しや前進する用意ができる。

他の者にとって虚弱性は再びトラウマを受けるように感じる。帯脈が開いて湿のベールが外れて排水が起こると、不愉快な思いが出てくる。この感覚はフラッシュバックあるいは悪夢の形態で起こる。症状は混乱や見当識障害として表面化するかもしれない。これらは患者にとって耐え難いかもしれない。彼らはこれらの症状の表面化に対する用意や準備が出来ていないと感じるかもしれない。

最も重要なすべての医学の信条は”まず傷つけない”である。したがって、帯脈を治療する場合にはできるだけ穏やかに実施する方法を見つける事である。私は任脈のLu7と帯脈GB41を使用している。任脈は陰の海であり湿を排泄させる為に使用しているが、更に重要なことは自己と自己愛を結合させる機能である。帯脈が閉塞していると任脈がトラウマ後の働きを助けており、封じ込めの容器として、排泄プロセスで重要な物質の損失を最小限にさせている。私の臨床ではこの経穴の組み合わせは思いやりがあり効果的な湿を追い出す方法として有効であった。

 

帯脈とデトックス

もし屈強な体質で帯脈の過剰な症状を持った患者に遭遇した場合には帯脈のクレンジングを始めた方がよい。帯脈のクレンジングによってこれから起こる危機に対応できる空間を作り出すことができる。身体の過剰や閉塞をデトックスによって彼らの身体で他の何かを経験することから守ることができる。今日の世界は極めて毒が多い環境である為に身体はサバイバルモードであり、まず毒素を排泄させようとしている。もしそれらを排泄させる事ができないとそれらを安全な場所に保存するようになる。帯脈のクレンジングは下焦の深部にため込まれた毒物を排泄させるために有用である。臨床的に帯脈の治療から開始する事で次の治療をどのようにバランスを取っていくか、そして問題の根源にアプローチするのが分かりやすくなる。毒物が排泄されると人生のカリキュラムが自発的に再開される。

帯脈と深くしまい込んだ信念

帯脈は信じられないほど自己保存に重要な脈であるが,また自己のカリキュラムを現実化させる障害となる。帯脈は祖先からのサポートそして精を消耗させるようなトラウマから身を守ってくれるか、多くの毒物を奥底にしまい込んで前進を妨げるかのいずれかである。

帯脈はまたネガティブな信念を深くしまい込んだ場所でもある。幼少期の自身のトラウマがネガティブな信念を作り出し成長と発展に逆効果を与える。これらの信念は私たちが経験したトラウマの文脈を認知する機能が発達する以前に形成される。例えば、子供の頃に信頼できる家族から暴力や性的虐待を受けて苦しんだ人は文脈を作ることができない。暴力によって生じた複雑な感情に対処することができなくなる。もし家族の暴力が明らかになった時に崩壊したならば、家族はそれぞれの責任であると感じると同時に子供も親の離婚の原因は自分にあると感じる。これらトラウマに関する文脈を形成することなしに恐れ、混乱、フラストレーション、自己評価、罪悪感あるいは恥が噴出する。これらの感情が子供を圧倒するが生命を持続させるためにそれら感情を帯脈に押し込める。問題はこれらネガティブな感情が人生に随伴することである。将来の人間関係は幼児期の押し込まれた感情と共に形成される。患者はこれらの感情を表現して生きていることに気づかない。これらの患者を助けるには深く抱いているネガティブな信念から、背負っていることにさえ気づいていないかもしれない重荷から解放することである。

健全な帯脈の意味は身体の中央部をサポートして縦に流れえる経脈の統合・調和である。我々は精が脅威を受けた時に自己保存させる脈の手段を持っている。生存のための待ち時間を作成する能力は、応急処置であると想定される。自身の資質を集め、最終的に抑圧または抑圧されたものに対処するための時間を与えるように設計されている。しかし、自身(元気)と対立するものを永遠に持ち続けることはできない。ある時点においてそれらを手放さなければならない。それらの古い傷、私たちの限界点の違反、そして深く保持された批判的な信念を解放させる。もし帯脈に蓄積されたそれらを開放することができないと自身がそれらに圧倒される。その意味は本来そうではない自分になるか死である。潜在力を維持するために我々は資質をその目的に使用しなければならない。その志室を使用して、私たちが誰であるかをさらに高めることはできない。つまり、人生の意味と目的を追求するために利用できる資質が少ないことを意味する。

 

帯脈で治療する一般的症状

  • 身体中心部の膨満感
  • 腰と腰部の痛み
  • 肝臓および胆嚢の過剰(熱、火、そして湿熱)による頭痛
  • アトロフィーと足の気:冷たい脚と足、脚の筋肉痛
  • 湿閉塞に起因する婦人科疾患と不妊症、気のうっ滞あるいは元気を命門から分配できない状態
  • 脾気の収縮に起因する脱出
  • おしりと股間の痛み

 

 

 

TOP